実売印税について

印税の発生の仕方で、印刷印税と実売印税という方法があります。

原稿の依頼を申し上げた方から、説明を求められましたので、ご説明申し上げました。

話しが少しだけ複雑ですの、簡単にご説明しました。以下の内容です。

実売印税というのは、1000部印刷して、その年に700部売れた場合は、700部の分の印税をお支払いするということです。

たとえば、簡単に申し上げますと

2012年 2刷 1000部 その内、700部販売 → 700部(※)
2013年 2刷 300部→300部販売 3刷 1000部 その内、800部販売 → 合計 1100部(※

(※)の部分が実売部数です。

1990年代くらいまでは、印刷印税という方向がありまして、売れても売れなくても刷った分の印税をお支払いするということもありました。ただし、現在は、実売印税の方が多いと思います。

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ここまでがご説明ですが、もう少し詳しく説明します。

売れましたものは、売上げが入りますので、そこから、印税をお支払いすることができますが、印刷印税の場合にはまだ売れていない段階で支払うことになりますので、借金をしてあるいは他の既刊の書籍の販売による売上げから、支払うことになります。経営的になかなかたいへんということになります。また、心配性の考え方をしますと印税を払っても、実際には売れ残るという危険性もあります。売れていない分の印税を支払うという体制であると経営が成り立たなくなって、倒産という危険性もあります。本が売れない時代ですから、締め気味になります。また、売れ残っても、一度支払った印税を返してくれとはとても言えませんから、その分、売れなかったのに出費が生じてしまうということになります。

もう一つは、印刷印税で先払いをしますとその分は在庫の評価に付加されます。印税分上乗せして資産となってしまいますので、全体としては、利益がでていれば、税金を払うことになります。売れたものだけに印税を発生させる場合、在庫の資産には印税分のコストが付加されないということになるのです。

ということで、現在の多くの出版社は実売印税にしているところが多いと思われます。