欧文組版2 シングルコーテーションとアポストロフィー

欧文組版について、第2段。


現在、『Writing for Academic Purposes』という大学の教養課程向けの教科書を作ってる。アカデミックライティングの本ですが、本文は欧文ですね。アドビガラモンドで、組んでいますがよく見ると字間に微妙な点があって、いろいろと字間修正の赤字を入れてデザイナーさんに返したところです。oの字形が微妙で、前後の文字によってアキのイメージがだいぶ変わってしまう。これはアドビの設計ミスかもしれません。あるいは、平均的な字間を使うとどうしてもうまく行かない場合が出てきてしまうのかも知れない。fとiがリガチャー(合字)になっているところで、行長に合わせるために、単語の中の字間がアキ気味の時、合字部分は詰まって見える。これは直しようがあるのか?こんなふうに編集者が字間をチェックしないといけないという事態はちょっと恐ろしいことです。ただ、テキストをInDesignに流し込めばいいわけではない、ということだから、仕方のないことなのか?もし、そうで、それをすべきとするなら、本の製作・編集の手間はたいへんになります。


さて、気になっているのは、シングルコーテーションの閉じとアポストロフィー、その後の字間は同じでいいのだろうか? アドビの文字幅の設定ではそうなっている。同じになっている。しかし、シングルコーテーションの後のアキは、アポストロフィーの後のアキよりも大きいのではないか?


Oxford Style Manualにも書いていない。きちんとした活版技術で組まれた欧文自体を見てみるしかないのかも知れない。『欧文組版』(高岡昌生 美術出版社)にも言及はありません。実物を見るしかないでしょう。欧文の古書を探すか。そういえば、本日、神田の欧文古書店に行くので少し見てみましょうか。


自己宣伝ですが、ここまできちんと仕事をしようとしている学術出版社はまずないと思います(キッパリ)。


何か仕事を新しく取り組んで、集中してやると必ず課題を発見します。その課題をひとつひとつ解決していくのが、たのしいのですが。職人気質ですね。


電子書籍ということになると、組版、ページ設定は自動処理になると思われます。そうすると基本的に流し込んで、プログラムが一括して処理することになります。そうすることで、本文の文字の大きさをその人が読みやすい大きさに変えても、大丈夫、あるいは横長の紙面でも縦長でも瞬時に組み替えるということができるようになるでしょう。それはいいことですが、紙の本にこだわるのなら、そういう自動処理ができないところを手を抜かないできっちりつくるということが必要です。


本を開いただけで、その雰囲気が分かるというような。きちんと作るためには欧文組版のレベルを2段階くらい上げなくてはと思っています。





http://d.hatena.ne.jp/myougadani/20100311
2010-03-11 欧文組版 字間の不思議 Letter-spacedなスモールキャピタル