千代田活字の馬

私が最初のつとめた出版社の近くに活字屋さんというか大きなビルディングの立派な会社があって、千代田活字という名前だった。

自分で会社を作って、四年たって、もとに働いていた街に戻ってきた時、新しく入ったビルのあるとなりのビルは鉛版協会の建物だった。とはいえ、鉛版の仕事はもうほとんどなくて、協会の事務所としての仕事をしていたのかははっきりしない。たぶんしていなかっただろう。

ちなみにそのビルのオーナーは、ぴあは創業期にそのビルを貸して、さらに表紙を及川さんにお願いしようと決めた時、依頼しに行ったということでした。私のいた部屋はぴあがその当時使っていたらしい。

四年たって戻ってきても、まだ、大きな千代田活字のビルはあり、しかし、そこは社名だけで、実際にはその建物と道を挟んで、東京税務署の宿舎のとなりの建物に、活字置き場と鋳造機をたぶん置いていたのだと思う。下を通ると活字を並べる場所=馬が見えた。

千代田活字と検索しても、数個しか出てこなかったので、思い出を書いてみました。ネットで言及が全くないのは、千代田活字は、活字として、人気がないのでしょうか。実際に千代田活字を使ってはいなかったので、わかりません。どうなのでしょうか。

活版自動版下作り機械のことも書きたいがいずれまた。


ぼくの近代建築コレクション より