出版の未来、学術出版の未来 その2 電子出版と簡単に言うなかれ 

出版の未来、学術出版の未来 その2

出版の未来というタイトルでブログに書こうと思った理由は、出版ということについて、思い込みで書かれているページがあって、そこでされている主張は、私の視点からすると根拠がないように思われるのだけれども、今の世の中の雰囲気としてそういう考えはあるよなあと漠然とそう受け入れられているようなもので、特に主張があるようでもないので反論も受けず、結果として曖昧な同意があるようおもむきになっている。

何か主張があるわけではないのに、あるいはないがゆえに、曖昧な同意のおもむき。それが何か時代的なコンセンサスのように思われていく……。

もとにある前提が、非常に曖昧なものにすぎない。その前提とはこういうものだろうか。



1)紙の出版と電子出版を対比して、将来は電子出版にあるという意見
2)出版という活動自体を、滅び行くものであるという前提のもとに述べられている意見



おいおい述べていくが、紙の出版と電子的な出版は単純に対立的に捉えられるものではなくて、さまざまに複雑に絡み合っている。どっちかではなくて、どちらもというのが自然ではないだろうか。紙の出版は、消えていくものというのも前提としている意見も多いけれども、しかし、そうか。紙に限る必要はなく、電子的な出版の仕方を未来のものと固定する必要もない。くりかえすが、対立的に捉えることは了見が狭い。


3)出版が担う情報というものは、編集・出版という仕組みがない方が共有されるに違いない。
4)紙という縛りがない方が、情報は共有される



ここでは紙は、出版を実際に行ってきたこれまでのあり方の象徴となっていると感じるのは、私が出版というものにこだわり続けているからなのだろうか。


出版というものが、どうなっていくかということを見つめていくことを私自身が、出版社を20年近くやりながら、考え続けてきたことを踏まえて、出版の未来は、実際にどうなのかということをここでは述べていきたいと思うのであります。