ヒューマンサービスの再評価を 横浜市立図書館の指定管理者制度導入

週刊読書人のコラムで日本図書館協会の酒川さんによると、横浜市立図書館が、今後5年間をかけて、指定管理者制度にかえられると言うことである。横浜市立図書館には因縁がある。ここが、図書館内の著作権脱法コピーを行ったということについて、出版業界ではじめて、零細ひつじ書房が抗議をしたことなど…。

http://www.hituzi.co.jp/library/library200010.html

それはともかく、私は指定管理者制度自体を悪いと思わないが、ベテラン、経験、人のネットワークなどを軽視して、5年間の研修でひとつの図書館のサービスを入れ替えるということができると思うという発想が問題だと思う。基本的に、ヒューマンサービスについて評価をしないという気風が日本にあるように思う。


人がやる仕事は、誰でもできると思っているのだ。これは編集者に対しても同じである。出版社がなくてもネットさえあれば、情報の公開・共有ができる、と思っている人は多い。まさに、横浜市立図書館がかつてやったことである。不法なコピーを推奨すると言うことは、作り手のことを考えず、出来た情報は複製してもよいという考え。そこには編集者を育てたり、さまざまなプロセスに対する関心はない、ということだ。そういう意味では、自業自得ということもいえないことはない。

しかし、過去の経緯は問うまい。本質に立ち返ろう。ヒューマンサービスが評価されないということである。ヒューマンサービスの再評価をしない限り、知的なインフラはどんどん地盤沈下していくだろう。

横浜市立図書館の指定管理者制度導入に反対する。