ウェブ進化論

ウェブ進化論という本があるが、私としては、この本に対して異論があるというよりも、1998年に「投げ銭システム」というものを考えてきたバックグランドがやっと現実社会のものになりつつあると思う。

無料でコピーもできて、カンタンに受け渡せるようになった時にどうあるべきかということをずっと考えてきたのだから。

場合によっては、買わなくても手に入れることのできるものを買って下さる読者は、義務のない貢献をしてくれているパトロンである。

パトロンとどのように出会うことができるのかというのが、課題である。でも、それは「ウェブ進化論」に対する批判ではなく、21世紀の出版・編集をどのように成り立たせていくかという実行の問題である。(これについては佐野眞一『だれが「本」を殺すのか』に私の発言が収録されている。)

それには知性と労力が、不可欠だ。その覚悟をするかどうかという点に関わっている。マーケットインという考えを読者だけではなく、著者に対しても及ぼすこと。

書籍というパッケージを超えて、書籍編集者たることができるのかが問われているのだろう。