ひつじ書房ワークショップ「認知物語論の臨界領域」開催!

今日は、土用の日ですが、今週の土曜日に開催のお知らせです。

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ひつじ書房ワークショップ

「認知物語論の臨界領域」開催!



日時 2011年7月23日(土)13時〜17時

場所 アジア文化会館(〒113-8642 東京都文京区本駒込2-12-13

   都営地下鉄三田線 千石駅(A1出口)より徒歩3分)アクセスマップ

参加自由(参加費1,000円 学生500円)



お申し込みはこちらから


概要

認知物語論は、認知科学のフレーム論、認知言語学の身体性・有契性の議論をもとに物語論のヴァージョン・アップをめざしてきた。本ワークショップは認知物語論の臨界領域を問う場―現在の認知文学研究の理論的周縁=先端として、自由で柔軟な方法論的試行に関する討議の場として企図された。テクスト/環境に根ざした事態・行為あるいは感性・情動の諸問題を分析し、それを可能にする理論的検討を絶えず行うこと。本ワークショップでそうした理論的試行の可能性を会場に集う人々と紡ぎ出せれば幸いである。


13:00 開場
13:05 ひつじ書房よりご挨拶
13:10 主旨説明 (西田谷洋 愛知教育大学准教授)

13:20〜13:50  話法論と物語論の交渉 (浜田秀 天理大学教授)
話法は興味深い現象である。第一にそれは、連文のレベルを作用域として生じることができる。話法論は、実質上文を超えた領域を扱うものであり、物語テクストの文法を考える上で、話法論の提起する問題を避けて通ることはできない。第二に、引用のことを考えれば明らかであるが、引用部はたんなる言語表現ではなく、元発話に対する「イコン記号」(藤田2000)として機能する。物語の構成原理を考える上で、言語記号の物語世界に対する類像的構築性が仮定できる。ゆえに物語論は「イコン記号」としての引用部の性格を検討し、その内部に位置づける必要がある。本発表では話法現象から出発して物語の特質の一端を明らかにすることを目的としたい。

13:50〜14:20  残存のコンストラクション (西田谷洋 愛知教育大学准教授)
精神分析批評は自己の輪郭が常に変動し、自己が他者に融解する、あるいは非理性的な狂気の中に、語る自己が見いだされる分裂した自我モデルを採用する。ディディ・ユベルマン『残存するイメージ』の残存もそうした精神分析モデルに対応する。しかし、それは狂気や分裂なのであろうか?今回の発表では村上春樹「蛍」を用いて、表象不可能な事態の把握をめぐる倫理と多重化する自己モデルの関係性の問題について認知物語論の立場から考察する。その際、補助線とするのは、『認知物語論とは何か?』等で採用できなかったコンストラクション概念である。残存をコンストラクションとして捉えるとき、いかなる視野が開け、あるいは閉ざされるのか、考えてみたい。

14:20〜14:30 休憩

14:30〜15:00  分岐する世界を読み渡ること (井上優 早稲田大学非常勤講師)
小説を、書いた作者や私たち読者が存在する現実世界に対し、可能世界としてとらえる際にはいかなる問題が浮上するのか。複数の世界における存在者(物)の指示に関することはその一つである。たとえば、森鷗外の小説『カズイスチカ』は、主人公花房や妹藤子、両者の父がかつて住んでいた家の説明について、「小金井きみ子」の「千住の家」という文章に書かれているので詳述しないということわりが冒頭でなされる。鷗外の妹小金井喜美子には「千住の家」という著作が実在するが、これらを踏まえると、この小説は現実世界と可能世界とをめぐるそうした問題を顕在化させもする。しかし、それのみならず、このテクストは、物語の内部においてもいくつかの世界の生起、分岐を垣間見させる。ならば現実世界と可能世界、そしてその可能世界において生起、分岐する世界を読み渡る過程をめぐっては、私たちが行う推論、解釈などを含めどのようなことが考え得るのか。そのプロセスに関わる若干の問題を引き出して検討してみたい。

15:00〜15:20 補足コメント (川本玲子 一橋大学准教授)
15:20〜15:50 休憩 質問票回収
15:50〜16:40 補足説明・質疑応答 (司会 日比嘉高 名古屋大学准教授)
17:00  閉場
17:30〜 懇親会


お申し込み方法

事前申込みをお願いします。件名(subject)に「「認知物語論の臨界領域」参加希望」とお書きの上、メールにてお申し込み下さい。
メールアドレス:toiawase(アット)hituzi.co.jp

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