文化庁重点支援施設採択について アゴラ劇場

平田オリザさんのことば。

今回の大幅な減額を受けて、こまばアゴラ劇場は開業以来の経営難に陥ることとなりました。

文化庁重点支援施設採択について」


...文化庁から、本年度より本格実施となりました「優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業」についての、採択の発表がありました。こまばアゴラ劇場は、全国で12だけの「重点支援施設」に採択されました。民間からの採択は、サントリーホールアゴラ劇場の二つのみです。これも皆様のご支援のたまものと感謝しております。
 しかしながら、助成金そのものの金額は、昨年度までの「拠点助成」の約三分の一、これまでもっとも多かった年の五分の一という大幅な減額となってしまいました。
この最大の原因は、事業仕分けのあおりを受けて、この部門の助成金の総額が大きく減らされたことにあるようです。他の劇場も減額になっていますが、下位で採択されたこまばアゴラ劇場は、もっとも激しい減額となってしまいました。
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 ただ、どのような状況下にあろうとも、結果として、相対的にこうした低い評価しか得られなかったことは、芸術監督としての私の不徳の致すところであると、深く反省をしております。
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 今回の大幅な減額を受けて、こまばアゴラ劇場は開業以来の経営難に陥ることとなりました。
 今年度は、国際関連の助成金は多くが採択をされました。また、ここ数年、文化庁助成金のみに頼らない経営の多角化を進めてきましたので、ロボット演劇、海外公演などの収入によって、会社が潰れるということはありません。しかし、厳しい状況であることには間違いありません。

http://www.komaba-agora.com/info/


平田オリザさんと自分を比較するのは、お門違いではあるが、今年の研究成果公開促進費の採択数と採択額の大幅な減額については、ひつじ書房でも同様の「経営難」に陥る。出版の助成の中では、学術振興会の研究成果公開促進費の比重は大きく、平田さんのように分散するということはできていない。それでも、次の平田さんのことばはかなり苦渋に満ちたものだ。



来年度の利用劇団の公募にあたっては、これまで利用料無料だった「劇場主催公演」の枠を廃し、公募は有料利用の「提携公演」のみとしました。



ということは、やめていた「小屋貸し」を復活せざるを得なくなったということと思われる。小屋貸しは、ライブハウスや劇場が行っているビジネスで、出版でいうと「自費出版」的なビジネスということになる。自費出版が悪いと思っていないけれども、できれば企画主体でやっていきたい、出演劇団からはお金を取りたくないという気持ちは大きかったはずだ。

助成というのは、税金からまかなわれているものであり、国民の支持する仕分けによって、財源が少なくなった場合には、それをどう覆していくかというのは、重大な問題である。もちろん、これは他人事ではない。