考古学協会の図書のイギリスへ一括寄贈の話し

考古学協会の図書のイギリスへ一括寄贈の話しが、1昨日の東京新聞の夕刊に書いてあった。

考古学だから、あちこちで発掘調査が行われ、発掘調査が行われると報告書が作られる。その報告書が考古学協会に寄贈されてきたが、過去には市川市立市川考古博物館に保管してもらっていたのが、場所がなくなって、その保管場所を探していたところ、国内で引き取り手がなく、イギリスのセインズベリー日本藝術研究所(Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures)に一括して寄付することにした、ということに対して、当然だと思うけれども、せっかくの資料を海外に送ってしまうのはどうかということでいろいろもめている、というようなことであった。

しかし、市川考古博物館が満杯でどうするかということは、すでに2006年に議論されてていて、それなりの手続きを経て、セインズベリー日本藝術研究所への寄贈は決まっているということではあるようだ。

そもそも、驚くべきなのは、考古学のそういう蔵書を保管する国家的なアーカイブの機関がない、ということ。そして、長い伝統を持つはずの考古学協会が、政治的な無能ということなのか、そういう国立機関を作らせてこないで、市川市という千葉県の一市町村の好意で保管するという状態に甘んじていた、ということだ。

歴民博とか、そういうところに保管してもらうことはできなかったものか。あるいは大阪の民族博物館であるとか。

東京新聞を読んで初めて知ったわけだが、考古学協会のウェブサイトをみると随分前から問題になっていたようで、考古学という公共性のある研究ジャンルの存在の問題が、たまたま東京新聞を見ると言うことでしか、その問題に知り得ないということに愕然としてしまう。

考古学協会に政治力を持った学者がいなくて、文科省文化庁にそういう施設を作らせることができなかったということなのだろう。あるいは、調査報告書については本当はみんなうんざりしていて、多くの人は散逸しても構わないと思っていると言うことだろうか。とするなら、これは図書館業界の無関心の問題なのかも知れない。

報告書を受け入れる場合に1冊1万円とか受け取り料をとって、それで施設を作るなり、運営するということでも良かったのではないだろうか。発掘には予算が付くわけなので、その報告書作成費に寄贈経費という項目を作ればすむ問題ではなかったか?関係者でもないものが推測で書くのはよくないと思うけれども。