紙か電子かの比較は記憶しやすさによる

朝日新聞の月曜日のBEに電子書籍特集が組まれていた。その中で私が面白いと思ったのは、東海大学工学部の面谷信さんのコメントだった。

「紙か電子かの比較は、結局、記憶しやすさによる」とのこと。

記憶の定着という点では、紙は電子ディバイスに一日の長があるというのだ。このコメントは、我が意を得たりという感じがする。ブラウズ、検索という点では電子ディバイスは圧倒的な威力を持っているが、そこで見たことを覚える、理解する、記憶にとどめる、という点では紙の方が現時点ではましだろう。また、未来において電子ディバイスが紙に勝つという保証はない。いつもいうことだが、両方使えばいいということになる、と思うのだ。

面谷信さんで検索したところ、電子ペーパーの研究者の方であった。著書も出されているので、さっそくアマゾンに注文した。基本的には工学の専門書の入門書のようだ。

この朝日の記事で思ったのだが、朝日は書籍のことを論評している場合なのだろうか、という感想。非常に他人事ですね。うーん。twitterの書き込みとほとんど変わらない。ということは、新聞はもう存在理由がないということのように思う。今の数倍の購読料を払っても読みたいと思わせなければならない、大変ですが、他人事なんですね。


紙+ディスプレイの究極のデバイス電子ペーパー



ヒューマンインタフェースの実験を通して



最後に,東海大学助教授・面谷信氏が,電子ペーパーに求められるヒューマンインタフェースについての実験結果を発表した。実験にあたっては,ディスプレイと紙とを比較することを出発点とした。

作業効率の比較実験として,研究室において,足し算や日本語の文書読解,英文読解などの実験をした。ディスプレイと紙を使い,それぞれ垂直作業と水平作業を比較し,計4つの作業形態を作ってテストを行った。

実験の結果,ハードコピー作業とディスプレイ作業は,客観的な指標である作業効率より,主観的な疲労度や見やすさの印象に関する要因のほうが差として大きいという結果が出たという。「疲れや読みやすいといった,作業形態の主観の絡む問題が割合大きいようだ」と面谷氏は分析する。

「読みやすさとは何か」「紙がどうしてこんなに疲れないのか」という問いかけに,「人と表示媒体との位置関係に注意してみよう」と面谷氏は言う。すなわち,紙を読む作業においては,持ち替えたり,ずらしたり,姿勢や視線の変化がある。一方,ディスプレイ作業は,人が姿勢を合わせて,体も動かないし目も動かない。それが疲労の原因の1つではないかということが考えられるという。

それらの実験をもとに,電子ペーパーの達成目標候補としては,「人と媒体との位置関係を自由にするということはかなり重要な要件ではないか」と言う。すなわち,手に持てるコンパクト性を実現しておくことがかなり重要な要素である可能性がありそうだとの考察にいたっている。



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