人文・社会科学の学術雑誌発行コストは自然科学よりも高い、とは
国立国会図書館のサイト、カレントアウェアネスによると、米国のOPEN ACCESS NEWSが「人文・社会科学の学術雑誌発行コストは自然科学よりも高い、という調査」を報告したという。その原因は、採択率が低いため、ピアレビューや査読に関わるコストが高いからだという。それに対して、投稿する著者が投稿についての経費を負担するという仕組みが提案されているらしい。
そのように著者が負担することで人文・社会科学の学術雑誌発行コストを下げようと主張する一方、理系の研究者が投稿する経費をサポートするファンドを持っているのに対して、人文・社会科学の研究者は、そういう基金、助成金を持っていないから、その部分を財政的補助する仕組みを考えるべきだという、ような論調だと思った、私の英語力で理解できる範囲によると。100パーセントの誤読かも知れません。
日本の学術振興会は、数年前に公開促進費を大幅に減らした。しかし、人文・社会科学の研究であっても、多くの研究は税金によってサポートされているということを考えると市民に公開されるチャンスを増やすためには、むしろ公開促進費を増やすべきなのではないだろうか。
OPEN ACCESS NEWSの趣旨については、ここでコストを議論している意味が今ひとつわからない。採択率が低いことで3倍とかになるという主張であるが、ピアレビューなんて、多くの研究者はほとんど雀の涙ほどの実質的に謝礼が無い中で行っているはずだし、ピアレビューに関わる事務的な人件費が増えるがゆえに、採択率が低いことで3倍とかになるというなのか、主張の理由がわからない。また、この記事を紹介する国会図書館の意図も不明だ。それをニュースとする必然性はどこにあるのだろう。全文公開版は追って公開されるとのことなので、そちらを待つことにしよう。
Authors in the STM field have ways of financing the publication of their articles that authors in the humanities and social sciences simply do not have," Mr. Davis told The Chronicle
OPEN ACCESS NEWS
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2009/08/how-humanities-are-different.html