学術出版への評価 人文学及び社会科学の振興について(報告)

人文学及び社会科学の振興について(報告)



われわれ、ひつじ書房は、言語学の出版社ですが、個々の学術出版社に留まらず、今回の報告は、学術出版に関わるものにとってとても重要なものだと思います。

文部科学省の設置した審議会である「科学技術・学術審議会学術分科会では、平成19年5月より、科学技術・学術審議会学術分科会学術研究推進部会の下に「人文学及び社会科学の振興に関する委員会」を設置し、人文学及び社会科学の学問的特性、役割・機能等を踏まえた振興方策について検討を行って」きたということで、これまでの検討内容が報告書としてまとめられ、公開されました。

以下の報告書、ぜひとも、概要ではない方をご覧下さい。人文学及び社会科学の振興について、学術出版の必要性について詳しく述べています。概要の方では、かなりさっぱりとした記述だと思います。


「人文学及び社会科学の振興について(報告)
  −「対話」と「実証」を通じた文明基盤形成への道」について
平成21年2月9日

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/02/1236243.htm




概要じゃない方には、はっきりと書籍ということばをつかって説明をしています。


即ち、人文学や社会科学の場合、書籍という形での研究成果の発信が、このような学術雑誌の査読システムの弊害を回避するための重要な研究成果の発信方法となる可能性を重く受け止めることが必要なのではないだろうか。…評価軸が多元であることから、評価方法を複合的に用意しておくことが重要なのである。このように、「社会における評価」や「歴史における評価」にさらされるという意味で、書籍の意義を重く受け止めることが必要であろう。人文学や社会科学の場合には、学術誌の査読という「アカデミズムによる評価」、書籍による(アカデミズムの評価も含めた)「社会による評価」のバランスを確保することが重要と考える。

(「人文学及び社会科学の振興について(報告)―「対話」と「実証」を通じた文明基盤形成への道」2009 p.21 科学技術・学術審議会 学術分科会)


もう少し詳しく書きましたので、こちらをご覧下さい。
学術研究を書籍で公開する意味 「人文学及び社会科学の振興について(報告)」を見て
http://www.hituzi.co.jp/kotoba/20090220ns.html