どこもかしこもチェーン店は嫌だ! 新宿駅東口ベルクを支援する
ちいさな店がどのようにして商売をつづけていくことができるのか。エリック・ホッファーのことばが泣かせる。続けていくことは作り出すこと以上にエネルギーがいることなのだ、ということ。
インパクトがだいじ。まさにそうだろう。新宿の人通りの多い通行客のとんでもなく多い場所に店を構えるベルクは「安い、早い、うまい」を徹底して追求したということがわかる。そのために、パンとコーヒーとサラミの職人を見つけて、手を組んで一緒に作る。
たとえば、言語教育というジャンルの学術書は存在しなかった。それまでにあったのは、参考書である。そこに言語教育というジャンルの学術書を作ったところにひつじ書房のインパクトはある。
先日、日本語教育学会で、教育工学の学術書が、高いと言われた。教育工学の学術書が、2000円台ということはありえんだろう、と私は思うが、人工保存料一杯の食材と手作りの食材の違いが分からない客ばかりなら、丁寧な食材のものを出すことはできないというようなことが分からないのだろうか。
2000部するという比較的一般的な内容で、その分野を研究している人がおおぜいいると思っているのであれば、5000円8000円は高いだろう。しかし、2000円ではなければ本ではないというようなことを思うのなら、研究書というジャンルがなくなることを意味する。ひつじ書房は売れる本ではなくて、読者が500人でも買ってもらえる本を出す。
高いと言われたのは日本語教育学会でのこと。今回は別のことでこころが乱れていたので反論しなかった。しかし、多くの方々は、研究書ということを理解して買って下さっていることに感謝しています。
こんなことを書いたのも、商売には原価戦略というのが非常に重要だからだ。原則を設けた上で、突出するようにしたり、目立つようにしたりもしながら、バランスをとるというのは難しい、ということを日々、感じているから、原価の部分に入れ込んだ。そういう意味で、原価率を公開しているのはすごい。真似が出来ないだろうという自信の表れでもあるのだろう。
ベルクが、原価率が恐るべき高いものも(そればかりではなく、それほどには高くないものも一緒に売ってバランスが取れている)も出せているのは、言葉にしないまでも食べておいしいと思っているお客がいるからだ。
優れたお客の存在の大切さ。傲慢であるが、私はお客とともにあり、わたしたちとともに育っていって欲しいと考える。
ベルクのことでいうと共感する点は個人商店の時代がきてほしいと私も切に思うとこと。そのことを考えても、2年で店舗からでていかなければならなくなることもある、更新制度が立法化されたというのはなんたることだろうか。これは商売を成り立たせなくなる悪法だ。