洋販倒産の原因は物流トラブル?

出版業界の業界紙新文化」によると洋販は、倒産の原因は物流トラブルによる資金繰り悪化と説明したとのことである。


洋販が自己破産へ―負債約65億円/物流トラブルで資金繰り悪化/洋販BSは民事再生へ/「流通代替は?」書店困惑/「書店事業は好転」軒野社長/洋販BS支援 ブックオフが名乗り(1面)
http://www.shinbunka.co.jp/headlinelog.htm



「物流トラブルによる資金繰り悪化」としたら、リアルなものを売るためには、ブツがきちんと届かないとどうしようもないわけだ。

うーん、流業者と物流のシステムを変えて、うまく動かなかったということですが、十分なテストをしていたのだろうか。物流の問題で、洋書最大の取次店が倒産してしまうというのは、とても残念。



話しは変わりますが、洋書のオンライン書店でskysoftという優れたお店があって、外部からサーバーに侵攻されて、顧客情報の流出が起こってしまい、その対策が十分に取れないということで、廃店してしまったということがあった。


「インターネット洋書店スカイソフト」は平成18年3月22日をもって一旦閉店をさせていただきます。再開方法と時期は現時点では未定です。
インターネット洋書店スカイソフト 閉店のお知らせ http://www.skysoft.co.jp/

skysoftはインフォトレーダーという丸善のような洋書と物品を扱っている情報商社が、買収していた。

うまく連携して、21世紀の洋書流通を構築していくことができればよかったのではないか、と他人事的には思う。タトルが洋販を吸収して、倒産してしまった洋販になっていたわけだが、リアル書店の物流の量だけを大きくするのではなくて、すぐれた洋書の棚を作ることの出来るカリスマ書店員を作るとか、そういう現場での販売力の向上とともに、ネット世界も大きく取り込んで、進化するというようなことがありえたのではないか、と他人事的には思ってしまう。

それだけに、物流トラブルで倒産、という説明を目にした時には、非常に残念でした。



追記

インフォトレーダー社は、skysoft閉店後に続けていた洋書や書籍の販売のサービスをこの6月で中止していた。


さて、突然のお知らせで恐縮ですが、2008年6月30日をもちまして、インフォゲートによる外国書籍(洋書)および国内書籍(和書)書籍のオンライン受注を終了させていただきます。
書籍等受注終了のお知らせ http://www.info-gate.jp/



洋書のビジネスが、1)英語の教科書 2)ノベルなどの読み物 3)研究や大企業の情報収集のための高額な書籍の3つにあって、2)と3)についてはネット書店が優位になってしまった。

3)のような人が届けて売る外商的な存在もおおむね意味が無くなってしまったということであろう。

洋書は洋書屋さんでしか手に入らないという流通だけに優位性を求めていたビジネスモデルから、どのように脱するかが求められていた。それは、打開されず、なにか商売の実験をするところまで、いかず一方、足下と呼ぶべき流通のトラブルでとどめを刺されてしまったということは残念。

私が経営に関わる立場だったら、skysoftのようなネット書店を吸収しネットへの対策を行い、書店への流通は和書の取次店のルートを使う(バーコードを張り替えるか洋書のデータを扱えるシステムを導入してもらう)ことで、自社の過剰な流通のシステムを最大限簡素化するとともに、カリスマ書店員を海外の書店から呼び寄せて、人材を育成しただろう。あくまで、妄想のレベルだが…。


追記2

私の気持ちは、個別的な経営の失敗が原因であったりややるべきことをやっていないのに、出版システムの問題にしてしまうことはいかんのじゃないか、ということです。ただ、書いた上での反省は、和書の取次店が実際にどううごいているのか、見捨てたのか、見捨てざるをえなかったのか、本当にカリスマと呼べる書店員がいなかったのかということを知るための知り合い、知人、これってどうなっているの、と聞くべき知り合いを持っていないという私の交友関係の狭さです。

これまでは、独自路線なので、業界的な付き合いを必要としてこなかったのではあるが、業界的な生暖かい付き合いをしたいという意味ではなくて、しかるべき人と知り合う旅が必要なのだと思います。

書店のお友達がほしい、みたいな話しになってしまいましたね。