日本を滅ぼす教育論議

myougadani2007-03-04

日本を滅ぼす教育論議 岡本薫

日本は「教育教」だという著者の指摘は説得的だと思う。教育を巡る議論が、そもそも議論の手法を踏まえていない精神論になってしまう。そのことは、右も左の論客も同じだという。それは、日本軍が敗北したのと同じ理由だという。「ゆとり」教育についての論議も誤っていて……。


著者の分析は説得力があると思う。ただ、ずっと文部行政に関わってきた著者という点では、議論不成立の論法に振り回されてきたことへの怒りがあって、その気持ちはそう思うだろうと思うが、ではどうするのかという点では、こういう教育を提案するというよりも、これまでの議論がきちんとしていなかったという点の指摘が強い。この意味で本書は、教育問題の書ではなく、議員・産業界・国民も含めた世論の不合理性についての批判になっている。行政手続き論の批判的な再検討の書と考えるべきだろう。

とするとパブリックな議論の仕方の提案という視点で書かれていたら、もっとプロダクティブになったような気がする。