憲法と平和を問いなおす (新書)
長谷部 恭男著 憲法と平和を問いなおす
通常、憲法は国家の圧政に対抗するために、国の圧政が及ばないようにするために作られたといういい方をしていると思う。民衆対国家という対立。そういうふうに習ったような気がする。
ところが、長谷部さんの本によると民衆対民衆の対立が行き過ぎてしまうから、国家はそのようなこと「人間の信条」「宗教心」「趣向」には関わらないことにしたという。
国家は民衆の私的な部分に関わらないという点では、同じだが、視点が違う。国が、極度の論争状態になってしまうようなことに関わらないようにするのが、憲法の役割だという。憲法を改正するために国が2分してしまうというようなことは、憲法の主旨から言っておかしいとのこと。
憲法は国家の力を抑制するものであるというのが通説だろうが、その場合、国家の力を強くしたいと思うと憲法を弱くするか、論争に立ち入ってしまう。長谷部さんの考えは、そうではないということ。
「立憲主義」ということを知りたくて買ったのだが、それが「民主主義」と対立するものであることは分かったけれども、もう少し知りたいところである。