仕事の文法

やりもらい。

こちらから、やったことなのか、してもらったことなのか。

日常的には文脈で分かればいいということがおおいが、仕事の上では厳密であることが望ましい。


「いつも注文をしていただいていました」


本当?注文をもらったことあるの?


「間違いでした。いつも注文書をお送りしていました、でした」


本質的には言い間違えで文法的な間違いというべきではない、と思いますが、かたちは文法の間違いです。といいますか、日常生活では、やりもらいについてのいい方は結構いい加減だと思います。内容が分かればそれでもいいのですが、職場の日本語は違います。

内容を理解していないのか、言い間違いなのかは重要なことです。


請求書を拝受という拝受についても同様で、日常語では「拝受」はあまり使わないでしょう。仕事の語彙であります。でも、これは丁寧語ではなくて、謙譲語なんですね。


丁寧語のつもりでつかっているかもしれません。全ての敬語が丁寧語化するという言語変化の流れが存在していることは認識しています。しかし、職場の日本語は保守的なものです。


請求書をもらうと言うことは、こちらが発注して、仕事を出したという要素があります。仕事をしていただいたという点もあり、もちろん、仕事をシテイルという点では対等な関係です。しかし、お金を払うというのはとても大事なことであり、お金を払うという点で、少し「上」です。仕事をしていただくというのはそういう要素があります。


もし、丁寧語として使っていると、その「仕事を出す」という意味が分かっていないか、社会的な関係性がわかっていないと思われても仕方がない。仕事の文法はそういうものなのです。


認知言語学的に「事態把握」の問題と言うことになるかもしれないです。仕事の行われている場面では、事態把握が間違っていては困るということです。