プレスリリース用献本の憂鬱

プレスリリース用献本の憂鬱


ひつじ書房は、言語学というジャンルの書籍を刊行している。普通の人、サラリーマンとか、サラリーウーマンとか、おじいさん、おばあさんが読むような内容かというとそうでもない。しっかりしているジャンルであるために、景気の動向であるとか、はやり、すたり、あるいは社会的な一時的な風潮というようなものに左右される度合いが少ない、ということではいい分野であるが、気持ちの揺れ、浮気心、ふとした関心のような、気まぐれな気持ちにはなかなかこたえられないという点がある。つまり、一般的ではない、ということだ。

そういう本の場合、新聞の読書面に送って、書評してもらおうとしても、だいたいは糠に釘のようになる。しかも、多くの場合は、どこの新聞社、雑誌社がそうしているかわからないが、アマゾンのマーケットプレイスに出している古書店に売り払われてしまう。そういうことを、気にしているようでは、プレスリリースの献本はできないと覚悟するべきだろう。しかし、憂鬱な気持ちになる。



ことばの宇宙への旅立ち3 ー10代からの言語学 大津由紀雄編