4月に入った新人が第三段階に入った。

4月に入った新人が第三段階に入った。書籍の出荷などの商品として本を扱うことをした上で、初歩の校正をして、本を作るプロセスの一端にを担い、そしてやっと、第三段階である、本を作るベーシックな部分、本文をどうやって作っていくかを知ってもらい、実際にやるところへ。

これはこれまでのひつじの悩ましい試行錯誤の上に立っている。とにかく最初に1冊作ってもらうという教え方の時代があって、次にプロセスを分解した上で、フォーマットに沿ってやってもらうという教え方の時代があって、それらの反省に基づいている。

とにかく最初に1冊作ってもらうという方法は、自力学習をしてもらった上で、その後で細かいことを教えるという方法であったが、どうにかでも作れるようになってしまうと、その個人個人のやり方から、ハウスルールに移行するのがとても難しかった。バラバラになってしまう。

細かい設定を印刷所との約束事で決めていくことができれば、仕事の流れは、細かいことを外部に任せることができる。理屈は分かっていないと行けないが、いちいちやらなくてもいい。フォーマット・段階方式は、仕組みを理解できないといつまでも基礎が理解できないという問題がある。そのやり方、フォーマットに沿って仕事を2年近く仕事をしたはずであるのに、そのフォーマットの意味について、別の印刷所が聞いたら実は全く理解していなかったことが分かったということがあった。本当にベーシックなことを2年後に分かっていなかったと言うことを知らされることは教えている側と非常にきつい。本はどういうふうにできあがっているのかということは1年以内に基本的なことは知ってほしい。多くのことはその土台の上に作られるはずだから。

とはいえ、そもそも、本の作られている仕組みを理解するということは難しいことなのかもしれない。出版業界でも、内容にだけ関わっているような立場の人は、本がどういうぶうに構成されているかを理解していない人は少なくないだろう。

とはいえ、やはりそれらは基礎の基礎に過ぎないので、できるだけ手っ取り早く越えてもらわなければならない。だから、最初に理屈はきちんと教えよう。理屈は必要で、それがないと応用がきかない。それに加えて、最初は割付を細かくやってもらう。理論と実作業を両方やる、ということ。両方が必要だ。理屈が分かってはじめて応用が利くし、何かを見たときに分析、解析することができる。実際に割り付けていると、その実態が分かるだろうし、矛盾する多くの場合をどう経験的に乗り越えていくのかということも体得されるはずだ。

書籍の出版社の生きる道は、きちんと書籍らしい書籍を作れるという実力の上に成り立つ。すべての基礎力だ。書籍を書籍らしく作れること、繰り返しになるが、もっとも重要なことだ。とともに、そんなに容易なことでもない。これらを越えて、さらに次のステップへ行く。


懲りない追記

第三段階という意味は、編集という仕事に10段階とか20段階あって、3段階までクリアという意味ではなく、本作りのための修業に入る準備に入ったというようなことです。