値段の設定

千川通り沿いで、近くにできたイタリアンに出かけた。3人で行って、カルパッチョと生パスタを食べ、自家製パンとデザートを2人分、グラスワイン2杯とビール1杯で、16000円であった。

おいしいパスタではあったが、10000円くらいと思っていたので、驚いた。そのまま出てきたが、高いんじゃないかと聞くべきであったかもしれない。たぶん、夜はもう行かないだろう。

値段は難しい。期待していたよりも高ければ、がっかりしてしまう。生パスタしか食べていないのにと感じてしまう。2人でミニコースでも頼んでいれば、リーズナブルと感じていたかも知れない。これはおそろしいことである。自分のところでも、本を出しているからわかる。その価値というものがわからなければ、値段に納得してもらえないということは多い。

たとえば、研究者の卵の方で、自分で本を書くということが想像できない段階では、たいていの場合、大手出版社の本の値段とそのまま引き比べてしまう。6000円とか8000円とかで、高いということばが「素直」に出てくる。

大手出版社が1万部のところ、われわれは500部であったりしても、直感的には理解できないかもしれない。

研究者の方が、自分で本を出すということを考えはじめると500部というのさえ、どんなに困難なことであるのかということにだんだんと気がついていくことになり、値段についても消費者的な視点ではなくて、作り手的な視点になって、一般書に比べて高価なその値段も法外なものではなく、むしろ良心的なものであるということがわかる、こともある。

だから、値段については難しい。

仮に10000円の本であっても買った方にその値段以上の価値があると思ってもらえなければ、指示されない。研究書のコストパフォーマンスというのはどういうものだろうか?